当院では、アトピー性皮膚炎の患者さんにTARC検査を行っています。

TARC(Thymus and activation-regulated chemokine)はTh2というリンパ球を引き寄せる性質をもつ血液中のタンパクで、2008年から採血検査が保険適応となりました。
TARC検査を定期的に(通常月1回)行うことで、重症度を見ながら治療し、塗り薬をしっかり使用して皮膚の炎症がおさまるとTARC値は下がりますが、その後再び皮膚に炎症が起こるとTARC値は上がります。アトピー性皮膚炎の「勢い」をある程度数値化することが可能です。
TARCの値を治療前と治療中で比較することが、アトピー性皮膚炎が軽快しているか、もしくはまだ治療が必要な状態であるかの判断材料の1つとして役立ちます。

TARC値が正常化する前にステロイドの外用を減量すると症状は悪化します。つまり見た目の症状で判断せず、TARC値で判断することが重要なのです。 そして医師の指示どおりに根気よく塗り薬を使用すれば、皮膚の炎症が軽くTARC値も上昇しない期間がだんだん長くなりやがて塗り薬の量を減らしても皮膚の症状があまり悪化せず、快適な日常生活を送れるようになっていきます。

検査方法:採血

正常値(pg/ml)
小児(6~12ヶ月)1367未満
小児(1~2歳)998未満
小児(2歳以上)743未満
成人450未満

アトピー性皮膚炎の重症度判定の目安(参考)

成人
血清TARC値 700pg/ml未満 軽度
血清TARC値 700pg/ml以上 中等症以上
小児
血清TARC値 760pg/ml未満 軽度
血清TARC値 760pg/ml未満 中等度以上

ステロイド外用治療

TARC値が正常化するまで皮膚症状をステロイド外用でコントロールします。
TARC値が正常化した後 TARC値が正常化してから、ステロイドの減量を開始します。
減量の最初は1日1回の外用とし、TARC値を見ながら隔日から週数回の外用へと減らしていきます。
こうしてTARC値を正常に維持できれば、アトピー性皮膚炎の治療のゴールに達したことになりこの状態を続けることで自然寛解を期待できます。

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